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渡辺 兼人 写真展  "Material"

2022年9月2日(金) ー 24日(土) 

金曜日 15:00 ~ 20:00

土曜日 11:00 ~ 18:00

火・水・木曜日はアポイントメントのみ

​ご予約はこちら

日・月曜日 休廊

*9月23日(祝・金)は営業いたします(15:00-20:00)

ZEIT-FOTO kunitachi   access

 この度、ZEIT-FOTO kunitachiでは9月2日より渡辺兼人写真展「Material」を開催いたします。

 ツァイト・フォト・サロンではこれまで9回、渡辺兼人の個展を開催して参りました。第一回の「逆倒都市(さかさとし)」の開催から実に40年の月日が経過しています。今回はツァイト・フォトが国立に移ってから初の個展となりますが、新作のカラー作品「墨は色Ⅱ」を中心に、幅広く過去作も含めた70点を超える作品を展示いたします。これまでの活動を一堂に振り返ることで、渡辺兼人の作品の本質により迫ることのできる、レトロスペクティブな側面をもつ展覧会です。

 新作のカラー作品「墨は色」シリーズは昨年初めて発表されました。このタイトルは新作を語ったものというよりは、むしろこれまでのモノクロ・プリントに対し、それらさえもカラーなのだというメッセージと受け止めることができます。ここには、カラー写真の位置付けが、渡辺にとって新たな表現や変化ではなく、これまで以上にシンプルに色を見せた結果であり、つまりは、渡辺兼人が表現し続けてきたことは、はじめから一貫している。そういう強い宣言が込められているように感じられます。

 その一貫性を裏付けるようなエピソードがあります。1974年にシミズ画廊で初の個展を開催した後、次作「既視の街」に辿り着くまでの6年の間、渡辺は沈黙して過ごしました。しかし、それ以降はほぼ毎年、展覧会を開催し続けています。立ち止まることなく撮り続けているのです。どうしてそんなことができるのか? それはこの6年の間に「写真に対する考え方がかたまった」からだと作家は語ります。その考え方がすべての作品を、40年以上もの創作活動を貫いているのです。

 ただし、渡辺兼人は非常にミステリアスです。「既視の街」以降の彼が捉えてきた、川のある風景や住宅街、薮のある風景は、わかりやすさやテーマ性のある被写体とは無縁の事物であり、表層的に眺めているだけでは「作品」はなかなか見えてこないかもしれません。でも、その一方で、これら美しく洗練されたプリントは、クールというよりはどこか思わせぶりで、物語や哲学をその背景に感じさせるのです。

​ 渡辺兼人の世界を愉しんでいただくために、最後に、もう一つのエピソードをお伝えしておかねばなりません。それは、2015年に京橋ツァイト・フォトでの最後の個展が開かれた際に、創業者の石原悦郎が渡辺兼人と対談をしたときのことです。「なぜ、これまで9回も渡辺兼人の個展を開催してきたのか。どこに惹かれているのか?」という問いに対し、石原は次のように語ります。

渡辺兼人の作品をなぜ気に入ったのかというとね。

そこに「なにもない」からなんですよ。

普通、僕たちは作品を理解しようとして、作品に積極的に介入しようとする。

ところがいいものというのはすごく拒んでくるんですよね。

僕も写真というものを前にして、自分を殺して、その作品が何を表現しているのかを掴もうと、耐えて耐えてそばにいるんですよ。そうすると、写真の中にある何かが僕に語りかけてくる。

でも、兼人さんは静寂。それは、他の作家にはない。

言葉のレトリックかもしれないけれど、何もないということがあるんだ。

そういう作家って、いるようでいないんです。

僕がジジイになったせいかなと思ったんだけど、そうじゃない。

渡辺兼人の作品を見ていると、非常にエネルギーを生み出されるということがあるんですよ。

 

ぜひ、お運びいただき、みなさんの中に湧きおこる気持ちを感じてみていただければと思います。

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墨は色 II, 2022年 コンタクトシート

​©Kanendo Watanabe

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既視の街、1980年

​©Kanendo Watanabe

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逆倒都市 II、1983年

​©Kanendo Watanabe

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ZEIT-FOTO kunitachiは創業者・石原悦郎の没後、国立市にある石原の私邸にスペースを移しオフィス兼ギャラリーとして営業しています。緑の多い環境の中、家一軒を丸ごと展示に使い、豊かな空間でじっくり作品をご覧いただけます。

明るく開放的な昼間の展示空間とは一味違った静かな夜の展示もお楽しみいただきたく思い、会期中の金曜日は15:00~20:00、土曜日は11:00~18:00を開廊としています。(火〜木曜日はご予約制)

​どうぞ、ご高覧くださいませ。

渡辺 兼人(わたなべ かねんど)略歴

 

1947年 東京都に生まれる。

1982年 写真集『既視の街』で第7回木村伊兵衛写真賞受賞。

 

<個展>

1973 「暗黒の夢想」 ニコン・サロン、東京

1974 「神秘の家、あるいはエルベノンの狂気」 シミズ画廊、東京

1981 「既視の街」 ニコン・サロン、東京

1982 「逆倒都市」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1983 「逆倒都市Ⅱ」 ツァイト・フォト・サロン、東京

         「類と類型」 オリンパス・ギャラリー、東京

1984 「逆倒都市Ⅲ」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1985 「人形1973-1983(制作 四谷シモン)」

         「ジャック・ザ・リパーに関する断片的資料1973」 つくば写真美術館'85、つくば市

1987 「YAMATO-TOKYO」 Gスペース、東京

1988 「YAMATO-大和」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1990 「YAMATO-F」 朝日ギャラリー、東京

         「彷徨・写真・城市」 パストレイズ・ギャラリー、横浜

1992 「L'ATALANTE」 平永町橋ギャラリー、東京

         「昭和六十六年 葉月」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1993 「YAMATO1987-1990」 ピクチャー・フォト・スペース、大阪

1994 「神無月迄」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1996 「水無月の雫(参)」 ツァイト・フォト・サロン、東京

1997 「水無月の雫」 江寿画廊、京都

1998 「半島」 エッグ・ギャラリー、東京

1999 「半島」 江寿画廊、京都

2000 「孤島」銀座九美洞ギャラリー、東京

         「(島)光の暴力」 エッグ・ギャラリー、東京

2003 「渡辺兼人 写真展」 何必館・京都現代美術館、京都

2004 「陰は溶解する蜜蝋の」 ツァイト・フォト・サロン、東京

2005 「孤島」 アートプランニングルーム、東京

2006 「雨」 ギャラリー山口、東京

2007 「摂津國 月の船」 ギャラリーメスタージャ、東京

2008 「雨の営み」 巷房、東京

2010 「忍冬・帰還」 何必館・京都現代美術館、京都

         「忍冬・帰還」 ギャラリーメスタージャ、東京

2011 「忍冬・帰還」 Beansseoul Gallery、ソウル

2012 「水脈の貎」 ギャラリーメスタージャ、東京

2013 「真菰は」 ギャラリーメスタージャ、東京

2014 「野老」 ギャラリーメスタージャ、東京

            「真菰は/野老」 Beansseoul Gallery、ソウル

2015   「半島/孤島/水無月の雫」 ツァイト・フォト・サロン、東京

            「泡沫の声」 ギャラリーメスタージャ、東京

            「泡沫の声/半島」Beansseoul Gallery、ソウル

            「雨はどのように降るのか」ギャラリーメスタージャ、東京

2016   「PARERGON」ギャラリーメスタージャ、東京

2017   「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第1回スナップ『声』」AG+Gallery、横浜

            「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第2回都市①『既視の街』」AG+Gallery、横浜

2018   「雨の雨域」巷房、東京

           「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第3回都市②『逆倒都市I・II・III』」AG+Gallery、横浜

           「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第4回都市③『YAMATO-TOKYO・大和・F』」

             AG+Gallery、横浜

          「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第5回旅『彷徨・写真・城市/L’ATALANTE/摂津国 月

            の船』」AG+Gallery、横浜

          「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第6回島『半島/(島)光の暴力・孤島』」

             AG+Gallery、横浜

2019  「断片的資料・渡辺兼人の世界 1973-2018 第7回草・水『水無月の雫/雨/忍冬』

            AG+Gallery、 横浜

2020  「舎人」巷房、東京

           「声」IG Photo Gallery、東京

2021  「6x9の春」笠間悠貴企画展 “風景の再来 vol.1” フォトグラファーズギャラリー、東京

           「墨は色」巷房2、東京

 

<出版>

1980 写真集『既視の街』 新潮社

2003 『渡辺兼人 写真集』 何必館・京都現代美術館

2015    写真集『既視の街』東京綜合写真専門学校出版局

2017 『断片的資料・渡辺兼人の世界I』AG+Gallery

    『断片的資料・渡辺兼人の世界II』AG+Gallery

2018    『断片的資料・渡辺兼人の世界III』AG+Gallery

            『断片的資料・渡辺兼人の世界IV』AG+Gallery

            『断片的資料・渡辺兼人の世界V』AG+Gallery

            『断片的資料・渡辺兼人の世界VI』AG+Gallery

2019   『断片的資料・渡辺兼人の世界VII』AG+Gallery

 

<主なコレクション>

何必館・京都現代美術館、東京都写真美術館、川崎市市民ミュージアムなど

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忍冬、2010年

​©Kanendo Watanabe

「実在のmaterial、記憶」

 text by 日本写真史  粟生田 弓 

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コロナ対策

新型コロナウィルス感染予防のための対策とご来場に際してのお願い

*非接触型体温計で検温をさせていただくことがございます。

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*混雑が生じないよう、お待ちいただく場合があります。​

ZEIT-FOTO kunitachiでは常に換気を行い、手を触れる場所は定期的に消毒いたします。

また、スタッフは毎日検温等で健康状態を確認し、マスクを着用して応対をいたします。

​今後の状況により、やむを得ず営業時間を変更する場合もあります。当サイト、SNS等でご確認くださいますようお願いいたします。

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