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鯉江真紀子 Makiko Koie

京都市生まれ
京都市立芸術大学卒業

現在  奈良市在住 京都市にスタジオ

http://www.makikokoie.com


< 主な個展 >

1994年 ギャラリー現/東京

1996年 ギャラリー現/東京

1997年 ギャラリーQ、ギャラリーQs /東京

1999年 ギャラリー日鉱/東京

2000年 ツァイト・フォト・サロン/東京

2003年 ツァイト・フォト・サロン/東京

2009年 大原美術館/倉敷

2010年 ツァイト・フォト・サロン/東京


< 主なグループ展 >

1994年 「EX+ 展」 千葉県立美術館/千葉

1997年 「第26回現代日本美術館」 東京都美術館/東京、京都市美術館/京都

1998年 「第27回現代日本美術展」 東京都美術館 /東京、京都市美術館/京都
1998年 「フィリップモリス アートアワード1998 最終審査展」東京国際フォーラム/東京

1999年 「第5回コモディティアート展」 ギャラリーセンタービル/東京
1998年 「第28回現代日本美術展」東京都美術館/東京、京都市美術館/京都

2000年 「現代日本写真家展1」 上海三亜撮影画廊/上海

2001年 「VOCA展 2001」 上野の森美術館/東京
2001年 「NICAF '2001」 東京国際フォーラム/東京
2001年 「OFF TRIENNALE」 留日廣東會館/横浜
2001年 「手探りのキッス 日本の現代写真」 東京都写真美術館/東京

2002年 「手探りのキッス 日本の現代写真」 丸亀現代美術館/香川
2002年 「芸術と医学展」 NTTインターコミュニケーション [ICC]/東京
2002年 「photoGENEsis: Opus 2」  サンタバーバラ美術館/カリフォルニア

2003年 「Genomic Issue (s): Art and Science」
2003年  The Graduate Center of the City University of New York/ニューヨーク
2003年 「NICAF '2003」 東京国際フォーラム/東京
2003年 「City_net Asia 2003」 ソウル美術館/ソウル
2003年 「Mask of Japan」 Aura Gallery/上海

2004年 「Mask of Japan Contemporary Japanese Photography」広東美術館/広東
2004年 「モダンマスターズ&コレクション展」金沢21世紀美術館/金沢

2005年 「広東写真ビエンナーレ」 広東美術館/広東
2005年 「VOCA展 2005」 上野の森美術館/東京
2005年 「幻のつくば写真美術館からの20年展」 仙台メディアテーク/仙台
2005年 「世界の呼吸法展・アートの呼吸 呼吸のアート」 川村記念美術館/千葉
2005年 「Seoul International Print,Photo & Edition Works Art Fair」Hangaram Art
2005年  Museumof Seoul Arts Center/ソウル

2006年 「インパクト展」 大原美術館/倉敷

2007年 「コレクション展 II」 金沢21世紀美術館/金沢
2007年 「JAPAN Caught by Camera」 上海美術館/上海

2009年 「中国現代美術との出会い展」 栃木県立美術館/栃木
2009年 「Art in BUSAN:Inter-City」 釜山美術館/釜山
2009年 「新収蔵作品展 2006-2009」 大原美術館/大原

2010年 「大原BEST―大原美術館創立80周年記念特別展」大原美術館/倉敷
2010年 「Summit of the six@vanguard gallery」Vanguard Gallery/上海

2013年 「Your Voice is Mine」シンガポール国立大学美術館/シンガポール
2013年 「オオハラ コンテンポラリー」大原美術館/倉敷

2014年 「まだまだすごいぞ!大原美術館」大原美術館/倉敷
2014年 「オオハラ・コンテンポラリー・アット・ムサビ」
2014年  武蔵野美術大学美術館/東京

< 受賞 >

2005年  「VOCA展2005 大原美術館賞」受賞/上野の森美術館
2005年  「京都市芸術新人賞」受賞/京都市



< パブリックコレクション >

大原美術館
東京都写真美術館
金沢21世紀美術館
広東美術館
上海美術館
シンガポール国立大学美術館

 

< 出版 >

2011 『Aura』青幻舎

 

 


「静謐な微熱空間」
堀 元彰 (神奈川県立近代美術館学芸員)

 何万というみず知らずの人々が集まる競馬場や野球場。そうした場所で生まれる喧騒には独特なものがある。個々の言葉は会話の当事者同士にとっては意味をもつものだが、それが渾然一体となった音声の響きは、まるで未知の言語にも似ている。だが、それでいながら、レースの結果や勝敗の行方が共通する関心の的であることによって、奇妙なコミュニケーションが成立する。多様な馬券が買われるのと同様に、そこにはさまざまな思惑や欲望や夢がない交ぜになってはいるのだが、それでも観衆の注目点は一致している。耳を聾する大歓声、それがふいに遠ざかったのちに訪れる不思議な静寂、そして再び湧き上がる歓喜や落胆の言葉にならぬ声。場と時間と目的の共有は、生の証しともいうべき熱狂をもたらす。鯉江真紀子は、そうした目でみることのできない、人々の共鳴作用をとらえるべくシャッターを切る。
 写真というメディアが、たんにある物事をそのままとらえるにすぎないものではなく、その事物を超えた何ものかをも指示するものであることは、あらためていうまでもないだろう。たとえば、ジェフ・ウォールの作品は、周到に計算された構図とモデルによって、人種、政治、社会、性にかかわる問題を暗示する。あるいは、ベアト・ストロイリやフィリップ=ロルカ・ディコルシアは、いわゆるドキュメンタリー写真の枠組みを利用しつつ、そこに現代人の生の諸相をかいまみせる。鯉江真紀子の競馬場や野球場の群集のイメージと比較的近いのは、アンドレアス・グルスキーの何点かの作品―たとえば、《パリ・モーターショー》(1993年)、《シカゴ先物取引所》(1997年)、《メーデーU》(1998年)などーだろうか。
 だが、グルスキーの写真のもつファッショナブルな冷たさとは異なり、プリントとフィルムのイメージを微妙にずらせて重ね合わせる鯉江の作品は、いつまでも下がることのない微熱のようなものを帯びている。それは、群集を写した作品だけでなく、緑の葉が画面いっぱいに広がる作品についてもあてはまる。ここでは人々の喧騒の代わりに、互いにささやき合うような葉ずれの音が自然の生命を与えている。もっとも、作品自体はいずれも完全な沈黙に支配されているようにみえる。不可視の世界を視覚化しようとする行為は、それと対称的に、あらゆる音声を無音化してしまう。視覚世界の存在そのものを根底から揺さぶろうとする彼女の作品は、どこか心霊写真に類似するかも知れない。確かに、この作家は、イメージを重層化し曖昧化することによって、逆説的に、本質的、超越的な何ものかを追求する。しかしながら、精神的と呼んでもよいその何ものかを表象するもうひとつの世界を、現実からのたんなる逃避でなく、現代における真の救済になしうるのは、芸術作品だけに与えられた特権なのもまちがいない。
(ギャラリー日鉱・展覧会カタログより)