
©Kitai Kazuo
IROHA
KAZUO
KITAI
2026年10月17日(土) ー 11月21日(土)
金曜日 15:00 - 20:00
土曜日 11:00 - 18:00
火・水・木曜日はアポイントメントのみ
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日・月曜日 祝日休廊
※ 11月8日(日)、11月15日(日)は11:00-18:00で営業
● オープニング パーティー 10 ⽉ 17 ⽇ (⼟) 16:00-18:00
● トークイベント 11 ⽉ 21 ⽇ (⼟) 14:00-15:00 ( 要予約•下記詳細 )
この展覧会 は Kunitachi Art Center2026 に参加しています。
ZEIT-FOTO kunitachi access

©Kitai Kazuo
写真を撮るようになってから60年が過ぎ私は80歳になった。なぜこんなに長く写真を続けられたのかわからないのだが、面白かったからということのような気がする。
抵抗、全学連過激派、バリケード、三里塚、流れ雲旅、いつか見た風景、沖縄放浪、1973年中国、村へ、新世界物語、ドイツ表現派紀行、アントニオ猪木、信濃遊行、フナバシストーリー、おてんき、1990年代北京、ライカで散歩、道、三個、写真と絵具。思いつくままに60年間撮った写真を並べてみた。何をどう撮るか考えるその根っこには、いつも反抗があったような気がする。
とにかく人の忠告を聞かなかった。たまには人の言うことを聞いたらどうかとよく言われたが、聞かなかった。今思えばその忠告を聞かなかったから60年間やってこれたと思う。
この頃は写真を撮ろうとしても、今までのように集中できなくなった。どこかが半分醒めているのだ。それでも撮ろうとすると、目の前を過去に撮った村や街、道や風景の写真の残像がちらついて、シャッターを押しにくい。そんなことが何回も続くので、この頃は写真を撮るのが少し億劫になってきた。どうにもならないので、目の前を通り過ぎる私の過去の写真のオリジナルプリントを破くことにした。破くことで気が晴れて新しい写真のことを考えるようになると思ったのだ。破く写真は60年前20歳だった時に撮った学生運動の写真、つまり私の写真の始まりとなったプリントしかなかった。それは私自身への反抗だった。
破れたオリジナル写真を見ているうちに、次はそこを絵具で塗りつぶすことにした。絵具はただ色を塗ったものと、アルファベットのA、B、Cと同じような意味の日本語で、い、ろ、はを書いた。それともう一つは、物事を始めると言う意味での一、二、三という掛け声にした。
自分のプリントを破るという断絶の深みから這い上がる時に見た風景のつもりで絵具を塗った。
2023年春から2024年秋までに100点の写真と絵具シリーズ「IROHA」を制作した。
80歳になった老写真家は、1年半をかけてこんな馬鹿らしいことを考えたり格闘をした。
北井一夫
(『IROHA』Chose Commune刊/2025年 前書きより)
トークイベント:
北井一夫 x 藤村里美( アーツカウンシル東京 )
11月21日(土) 14:00-15:00
定員 20名(予約制)
参加費無料
メール等でご予約ください
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ZEIT-FOTO Kunitachiでは、2026年10月17日より北井一夫「IROHA」展を開催いたします。本展では最新作である〈IROHA〉シリーズを中心に、そこへ至る60年にわたる作家の軌跡の断片とともに展示いたします。
〈IROHA〉は、北井が自身の過去のオリジナル・プリントを破り、その上に絵具を施した作品です。破れた写真の像と裂け目に、色彩や「い・ろ・は」「一・二・三」といった文字や形が重ねられ、それぞれ異なるイメージが生み出されています。
一見すると、オリジナル・プリントを破り、そこに絵具を加える行為は、写真をより強く一点物の作品へと変えるもののようにも見えます。しかし〈IROHA〉の魅力は、一点一点がもつ画面の強さと同時に、それらが連なることで生まれるリズムにもあります。裂け目、色彩、文字や形が反復と変奏を繰り返すなかに、北井が写真家として出発した頃の息づかいと、現在の手つきとが重なり合います。
また〈IROHA〉は、北井の写真家としての歩みそのものを考えるうえでも興味深い位置にあります。雑誌という複数の写真が連なる場で発表を重ねてきた北井の写真は、のちにオリジナル・プリントとして、一点一点の作品としても広く鑑賞されるようになりました。〈IROHA〉では、そのオリジナル・プリントを作家自身が破り、絵具を加えることで、二度と同じものの存在しない作品へと変化させています。それでいて100点を超える本シリーズには、北井の写真がもともと備えていた連なりとリズムが、別の姿となって立ち現れています。
80歳を超えた北井が破いたのは、今から60年前、20歳のときに撮影した学生運動の写真でした。北井自身が「私の写真の始まりとなったプリント」と呼ぶそれらに手をかけた行為を、作家は「私自身への反抗だった」と振り返っています。過去を保存するのではなく、自らの原点を破り、そこに色や文字を重ねることによって、再び新しい制作へと向かう。〈IROHA〉には、写真家としての出発点と現在とが、一枚の画面の上で交差しています。
加えて今回は、〈三里塚〉や〈フナバシストーリー〉、〈ライカで散歩〉等も出品されます。〈IROHA〉にあらわれた新たな現在と、その背後に積み重なる北井一夫の仕事を、ぜひこの機会にご覧ください。
ツァイト・フォト

©Kitai Kazuo